御来場ありがとうございました
2025/10/08
13:30~17:00(13:00開場)
左より(一社)建設ディレクター協会新井恭子理事長、伊米ヶ崎建設 櫻井馨代表取締役社長、海老根建設 柳瀬香織代表取締役

| 内容 | 全国から250名が集結、交流を実現!「KDN KYOTO 2025」開催レポート 建設ディレクターネットワークとして7回目の開催となった「KDN KYOTO 2025」。北海道から沖縄まで、全国の建設企業の経営者や建設ディレクターを中心に、約250名が京都に集まり、熱気あふれる交流の場となりました。 当協会理事長・新井恭子による講演では、「原点回帰」をテーマに、建設ディレクター誕生の背景や、2017年からスタートした事業の歩み、そして今後の展望について語りました。特に、次世代人材の育成に向けた「ジュニア建設ディレクター育成」や「地域ネットワークの構築」など、未来を見据えた構想が紹介され、参加者の関心を集めました。「地域ネットワーク」は10月8日のKDN京都をキックオフの場とし、次に北陸、北海道、関東、九州、全国へと展開を予定していると発表。KDNはこれまでの歩みを踏まえ、さらなる飛躍を目指して、地域と未来をつなぐネットワークとして進化を続けます。 組織力で未来を築く──伊米ヶ崎建設の協働型チームへの進化 伊米ヶ崎建設株式会社 代表取締役社長 櫻井馨 新潟県魚沼市に本社を構える伊米ヶ崎建設株式会社は、建設ディレクターの導入を契機に、個人依存型の現場運営から、協働型の組織体制へと大きく進化を遂げています。 櫻井馨社長は講演で、建設ディレクターを現場支援だけでなく、ICTの内製化や業務標準化を通じて、技術者とディレクターが互いに「主体」となり連携することが重要と述べました。その結果、若手人材の定着率が向上し、社員の平均年齢も大幅に若返るなど、組織全体の活性化につながっています。 また、デジタルツールを活用したタスク共有やナレッジ共有により、現場間の連携が強化され、属人的な業務から脱却。チーム施工による「全体最適」の実現を目指す姿勢は、地域建設業の未来に向けた新たなモデルとして注目を集めています。 循環するキャリアで未来を切り拓く──海老根建設株式会社の挑戦 海老根建設株式会社 代表取締役 柳瀬香織 高齢化と就労人口の減少が進む地方都市において、公共工事を中心に地域インフラを支えるとともに、持続可能な働き方改革と人材育成に取り組んでいます。 しかし、施工管理技士の採用には苦戦が続いており、社員の年齢構成は50代以上が中心。ICT技術の導入による業務の変化が高齢社員の負担となり、モチベーション低下や退職希望が課題となっています。こうした状況を打開するため、同社は「建設ディレクター課」を新設。施工管理技士の業務を分担・補完する新職種「建設ディレクター」を導入し、タスクシフティングによって資格不要の業務を移管することで、施工管理技士の負担軽減と長寿命化を実現しています。 建設ディレクターは、マンツーマン型で施工管理技士を補佐するスタイルと、横断型で全現場を対象に専門業務を担うスタイルの両方で運用されており、実際に施工管理技士を目指す社員も現れています。この制度は、キャリアの循環と育成を促進し、社員の働く寿命を延ばす効果をもたらしています。 最後に、同社が目指すのは、社員全員が小さな成功体験を積み重ね、互いを認め合える社内文化の形成です。高齢社員も若手社員もやりがいを持って働ける環境づくりが、企業の持続性と地域貢献につながると考えています。ワークエンゲージメントの高まりが、企業風土を変え、企業寿命を延ばす力になる、というのが海老根建設株式会社の挑戦です。 組織を紡ぐ存在へ──石岡理事が語る建設ディレクターの新たなフェーズ 一般社団法人建設ディレクター協会 理事 石岡秀貴 石岡秀貴氏は、「建設ディレクターの新しいフェーズへ」と題し、組織変革の可能性について講演を行いました。 石岡氏は、建設ディレクターの導入意義は生産性向上にあるとし、その生産性向上の鍵は現場代理人のコアスキルにあり、そのスキルを高めるには「適正・経験・環境」の3要素が重要であると指摘。また、高めたスキルを最大限に生かすには、全工程の中でも特に初期段階において、建設ディレクターによる集中的な支援を受けることで、現場管理において最も重要な「計画」に集中して取り組める環境を整えることが効果的であると説きました。特に、建設ディレクターが組織全体を横断的につなぐ“横串”の役割を担うことで、属人的な現場運営からチームとしての協働文化へと進化することが可能になる、チームとしての活躍を評価することで自分事として捉えることができるのではと語りました。建設ディレクターの存在が企業文化のアップデートにつながり、「人が集まる組織」へと変化することで、企業価値そのものが高まると強調。これからの建設業は、協力・支援し合える組織文化を持つ企業こそが成長し、持続可能な未来を築いていくと締めくくりました。 経営者三名からの建設ディレクター実践報告は、いずれも効果が出るには一足飛びでは難しい、互いに理解を得るためのコミュニケーションが大切であり、その為には経営者が建設ディレクター導入を「組織改革」と捉え、企業全体の最適化として取り組む計画だと述べました。 全体セッション 全体セッションでは、村上建設株式会社(鹿児島県奄美市)より、建設ディレクターの蘇畑広仁さんが登壇。異業種からの転職経験をもとに、建設ディレクターとしての歩みと現場での役割について語られました。蘇畑さんは、造船業での施工管理・営業経験を経て、家族の介護が必要になったため地元奄美へのUターンを機に建設業界へ転身。「建設ディレクター」という新しい職域に魅力を感じ、未経験からの挑戦を決意したといいます。現在は、道路整備工事の現場で、書類作成・測量・点群処理など多岐にわたる業務を担当。ICTやクラウドツールを活用し、未経験者でもスムーズに業務を習得できる環境づくりに取り組んでいます。講演では、「一人ではなく、皆でできる環境づくり」「仲間と共に成長することの大切さ」が強調され、参加者から共感の声が多く寄せられました。 続いて、約250名の参加者が22グループに分かれ、協会から投げかけた質問に対して意見を交わしました。グループには、建設ディレクターや経営者、技術者など、さまざまな立場の方々が参加。普段なかなか伝えきれない想いや課題が共有され、「実はこういう目的があったのか」「こんな考え方もあるんだ」と、お互いの理解を深め他社事例を知る貴重な機会となりました。会場一体が熱く語り合う場は壮観であり、多様な視点が交差することで、KDNの意義や可能性を再認識し、未来へのヒントが生まれる場となった今回のディスカッション。今後の活動にもつながる、実りある時間となりました。 最後に(一財)建設業振興基金の奥地正敏理事より当催事に関して総評し、当協会と建設ディレクター導入企業に対しへ今後の活動に期待をよせるご挨拶をいただきました。 |
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| 受講対象となる方 | 企業、行政、自治体、協会団体関係者 |
| 開催スケジュール | 2025年10月8日(水) ●「KDNと地域ネットワークの構想について」 一般社団法人 建設ディレクター協会 理事長 新井恭子 ●「組織全体で成果を上げる組織への進化─建設ディレクターによる協働組織への変化」 伊米ヶ崎建設株式会社 代表取締役社長 櫻井 馨 氏 ●「建設業のワークエンゲージメント」 海老根建設株式会社 代表取締役 柳瀬 香織 氏 ●「建設ディレクターの新しいフェーズへ」 一般社団法人建設ディレクター協会 理事 石岡 秀貴 氏 ●全体セッション「共に育つ仕組みづくり ─ 成果を出す組織の基盤とは」 |
| 開催方法 | 会場開催 |
| 会場 |
国立京都国際会館 ルームD |
| 定員 | 250名(先着)※満員御礼につきお申込みの受け付けを終了しました |
| 費用 | 無料 |