メッセージ

一般財団法人建設業振興基金 理事長
佐々木 基

 

 建設業界は今、高齢化や担い手不足に加えて、withコロナの時代を迎え、AIを活用した生産性の向上に踏み出せるか否かが、企業成長の決定的要因になりつつあります。 その鍵はI-constructionに加えてマネジメント部門での大幅な生産性向上にありますが、そのためには、バックオフィス(事務所)の機能を強化し、建設現場とバックオフィスとの瞬時の情報共有やバックオフィスでの的確な情報処理が欠かせなくなります。 「建設ディレクター」は、今まで生産への関与が低かった多くの人材を新時代に対応するバックオフィスでの主役として育成することにより、より安全で品質が高く、より魅力的な建設産業を切り拓こうとするものであり、その取り組みに大いに期待するものであります。

立命館大学 理工学部 環境システム工学科 教授
建山 和由

 少子高齢社会が進展し、建設業界は担い手確保に苦労しています。一方で、建設の仕事は高度成長期に急速に整備されたインフラの維持・更新工事が本格化して来ます。このままでは、市民に対し安定的にインフラを提供していくという建設業の社会的役割を果たすことが難しい状況になって行きます。

 この状況を転換すべく、i-Constructionを始め、新たな取り組みが動き出していますが、それらの主要な施策はICTの活用です。ICTを活用することで人手と時間を削減することが謳われていますが、それとともにこれまで建設に携わることのなかった人達にも建設の仕事を担ってもらえるようになることに注目すべきです。ややもすると現場を担う建設技術者にICTなど新しいスキルの習得を求めがちですが、現場の仕事を担いながらこれを行うことは簡単ではありません。そのときに一定のスキルを習得した人に担ってもらうことができると、チームとしてICTのメリットを十分に引き出し、直接現場を担当する技術者の負担を大幅に軽減し、作業の効率化と就労時間の短縮を実現することができます。

 建設ディレクターは、その汎用的な仕組みで、公共事業の約3/4を占める地方の中小規模工事でも導入することができます。多くの現場で建設ディレクターが活躍されることを期待しています。

受講された方より

たち建設株式会社
桐畑 絵里

ー 受講を考えた理由やきっかけを教えて下さい。

建設業の基本はもちろん、社会人全般に必要な知識を学ぶことができました。原価管理の概念に関しても、自社の取組みに活かしていきたいと感じました。社内の業務整理を行うきっかけにもなり、会社全体としても仕事内容の整理や配置転換、役割の見直しについて考えることが出来ました。

ー 今後の目標を聴かせて下さい。

今後ICTの建設機械導入やドローンの活用が進んでいく中で、土木に関する知識だけではなく情報通信関係の知識も必要になりまし、現場担当者とのコミュニケーション能力がより重要になるかと思います。多様な人材が必要になっていくこれからの建設業界において、社内に適材適所で活躍できる場を設け、社内の人間がやりがいを感じる環境づくりを行っていきたいと考えています。

株式会社三都
井上 こず恵

ー 受講を考えた理由やきっかけを教えて下さい。

入社以来、特に建設業の専門知識を学ぶ機会もないまま、手探りで業務をこなしてきました。そのような環境の中、建設業全体の基礎知識を把握できるいい機会になること、事務所内で幅広く業務に携わることで自分自身の勉強にもなると感じ、参加を決めました。

ー 受講後に変化はありましたか。

興味があった分野に関して、学びの最初の一歩を踏み出せたと思います。また今後後輩や部下の指導をする際にどういったことを伝えていけばよいか、という点においてもいい経験ができたと思います。そして、一緒に受講した方々との交流も新しい刺激になり、貴重な情報交換を行うことができました。

ー 今後の目標を聴かせて下さい。

今回の講習を元に、まず自分のできる範囲で「現場を事務所からサポート」を実践していきたいと思います。できることを少しずつ増やし、且つ、効率よく仕事を進められる(現場、事務共)環境を作っていけたらと思っています。

経営者の方より

桜井社長

伊米ヶ崎建設株式会社 代表取締役社長
櫻井 馨

ー 建設ディレクター導入を検討されたきっかけを教えて下さい

当社では現場代理人・監理技術者(以下、現場担当者)の長時間労働が恒常化しており、心身ともに疲労困ぱいの様子をみて問題意識を持っていました。私も現場監督時代に昼は現場業務、夜は現場事務所で書類作成という働き方をしていたので、それを変えたいとずっと思っていました。一方で若手の採用・育成もなかなか思うように進まず、フォローする体制を作ろうにもなかなか手を打つことが出来ていませんでした。そんな折、新井社長とご縁を頂き、建設ディレクターについてうかがう機会があり、「これだ!」と思い、強く興味を持ちました。ちょうどその頃、他社で女性社員の方が現場の安全管理書類の作成などを行って、現場担当者の書類作成の手間を減らす取り組みを実践されている会社を見学させていただいていたので、その二つが繋がったのだと思います。

ー 建設ディレクター導入にあたって課題に思われていることを教えて下さい

建設ディレクターに何をさせて、何をさせないのかをきちんと定義して運用していくことが重要だと考えています。そのために、建設ディレクターと現場代理人の間に、適切に部門長などが介在して、全現場で統一したフォーマットやルールなどを仕組み化して運用してかないといけないと感じています。個人個人の好みや考え方に振り回されては、建設ディレクターの負担が過度に増えてしまうことになってしまいますし、それでは効率化ではなくただの業務の押し付けになってしまいます。そのためにも、社長や部門長など決定権を持った人が、建設ディレクターの目的をきちんと理解し、効果的なサポートができる環境を整えることが重要だと感じています。

ー 建設ディレクター導入によって生まれる効果はどのようなものがあると思われますか

キーワードは「共有」だと思っています。当社では20年ほどからISOを通じて社内の書類の標準化を進めていますが、実際のところ個人の仕事のやり方やフォーマットには様々な個性があり、それが情報の共有化の弊害になっている部分もありました。建設ディレクターが各現場に横断的に関わることで、現場の帳票の標準化や効率化が促進すると同時に、各現場担当者の良い取り組みなどが共有され、結果として会社の力の底上げにつながっていくのではないかと思います。また、各現場の仕事の内容や状況がオープンになり、現場での悩みを会社全体で共有しやすくなるのではと期待しています。

当社も建設ディレクターの取り組みを始めたばかりで手探りの状態です。ですが、必ず近い将来、建設業のあるべき姿として建設ディレクターの存在がスタンダードになっていくことと思いますし、こういった取り組み無くしては建設業の明るい未来の実現は難しい社会環境になってきていると思います。当社での実践の結果については、京都サンダー様を通じて皆様と共有させ頂き、ともに明るく働きやすい建設業の未来を創造していきたいと思います。

株式会社昭建 代表取締役副社長
兼光 喜一郎

現場技術者の支援組織を新設しました

建設業界は非常に奥が深く、常に課題と向き合う世界です。弊社の技術者も新しい知識を習得しながら、日々の現場管理を行っているため非常に多忙です。そこで、現場技術者の支援組織として工務部を新設し、内2名の女性社員が建設ディレクター育成講座を受講しました。

専門知識からコミュニケーションまで多岐にわたる教育訓練を社内で行うことは非常に難しいです。そこで、彼女達が広く知識を得る場として受講を決めたわけですが、彼女達には、育成講座で得た知識を基に、さらに新しい、特にICTの積極的な活用を考える役割も担って欲しいと考えています。そして、経営者が常に挑戦し、次世代の活躍の場を創ることが建設業界全体の活性化にもつながっていくのではないでしょうか。

東邦電気産業株式会社 代表取締役
佐伯 祐左

建設工事への理解が深まりました

建設工事業の業務全般、業務の仕組みについて理解を深めるのに、ちょうど良い内容になっていると考えます。社員は自分の担当業務については詳しいものですが、自分の会社の商売の構造については存外知らないものです。営業→見積→受注→材料・労務の購買→工事→納品→売上・支払、この一連の流れを理解した上で、改めて自分の業務を振り返ると、これまでと異なった働き方につながるのではないでしょうか。建設ディレクター育成講座は特に、担当範囲が限定されがちな事務職に携わっている人が、より専門性の高い業務を担当しようとする時に有益であると考え、第2期、第3期と連続して受講いたしました。