導入事例CASE
CASE of 武藤建設株式会社(長崎県)
長崎県の武藤建設株式会社は2019年秋から建設ディレクターを採用、翌々年さらに1人増やし、武藤剛社長自ら教育と現場との連携に力を入れています。この春から3人体制となる同社に、今後の展開について聞きました。
武藤建設の最初の建設ディレクターとなった竹田さんは商業高校の商業科を卒業後、一般会社の事務職2年を経て、2年前に転職しました。きっかけは運命的な出会いでした。なんと竹田さんの自宅新築時、太陽光パネルを取り付けた武藤建設の仕事ぶりを見て、「やさしくていいなあ。こんな会社で働いてみたいなあ」と思ったそうです。
一方、武藤社長はその頃、「現場の労働時間を減らしたい」「柔軟な働き方で風通しをよくしたい」と考えていました。たまたま技術者勉強会で出会った建設ディレクター協会の新井恭子理事長から建設ディレクターの話を聞き、「うちでも採用しよう」とひらめきます。そのタイミングで「建設ディレクター」の募集を見つけた竹田さん、「現場の負担を減らせる仕事」と知り、「力になりたい!」と応募して入社しました。
この話には、さらに続きがあります。翌々年、2人目の建設ディレクターとして入社した中山さんは、実は竹田さんの高校時代の同級生。会計事務所で事務員として働いているときに、関与先の顧客である建設会社(武藤建設とは別会社)の社長から、「現場が忙
しくて大変」と聞いていました。さらに「事務を専門に担ってくれる新しい職域ができたようだ」との話も。気になってネットで調べてみると、「現場を助ける建設ディレクター」の記事があり、「自分もやってみたい」という気持ちがムクムクとわき起こったそうです。そこで既に建設ディレクターの職に就いていた竹田さんに相談すると、「やりがいがある仕事だよ。ちょうどもう一人募集している」と情報を入手。
こうして武藤建設の建設ディレクター2人体制がスタートしたのです。
入社後、2人は建設ディレクター講座を受講し、実際の業務は武藤社長から教わりました。最初は安全書類のインデックス作成やファイリングを。次に下請けへの施工体制台帳を建設ディレクターが依頼・チェックして現場に交付。さらに施工計画書のベース部分の作成や、現場パトロールに同行して安全チェックと報告書作りなど、徐々に現場に関わっていきました。
「一番難しかったのは、現場監督の意識を変えることでしたね」。武藤社長はそう笑います。やはり、監督はリーダーなので、個性の強い人が多いと言われます。各自のやり方でチームを統率してきたため、「書類は自分がやった方が早い」「わざわざ頼んで説明するのが面倒」果ては「現場を知らずに何ができる」という拒否感のある人も。
同じ書類でも、監督ごとに作成方法やインデックスの並べ方などの違いも当然あります。立ちはだかる壁に対して、武藤社長が間に入り、現場監督には協力の依頼を、建設ディレクターには知識力のアップを図るなど、まさに「二人三脚」で道を作っていきました。
現在、竹田さんは営業部として入札資料や積算を、中山さんは経理・工事部で現場の請求書処理などの原価管理補助や3Dスキャンデータ処理などを担っています。中山さんは言います。「最初はこちらから声をかけて仕事をもらっていましたが、いまは現場の人が直接、電話やLINEで指示を下さるのがうれしいですね」。
「積算が完璧」と言われる竹田さんは、「現場から、○○の単価を教えて!などの連絡が入り、すぐに調べて応対できることに手ごたえを感じています」。
今後の夢もビッグです。2人とも国家資格である「施工管理技士」取得に向けて勉強を開始。多くの専門知識と経験が必要ですが、専門学校に通う授業料も就業時間内に通うことも会社側が全てカバーしてくれるそうです。
「より現場のことを知り、皆さんの役に立てるよう頑張ります」と2人は意気込みを語ります。
今春、さらに新卒の建設ディレクターを採用。武藤社長は未来図をこう描きます。「将来、現場マネジメントのできる現場監督にもチャレンジしてもらえたらいいなと考えています。会社としても結婚や出産・育児休暇の取れる体制を整えるため、建設ディレクターにはますます期待しています」。
企業名 | 武藤建設株式会社(長崎県) |
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WEBサイト | https://www.mutoh-k.co.jp/ |
概要 | 1949年、長崎県長崎市にて創業。 2009年、武藤 剛氏が34歳のときに3代目代表取締役に就任。道路やダムなどの土木工事のほか、建築家と提携したこだわりの新築住宅からマンション建設、公共施設建設まで手掛け、県・市の表彰も多数受賞するなど、多くの信頼を得ている。 社員数30名。 |